学会からの提言

これからの小児歯科保健のあり方について

5.小児歯科保健向上のための国民の意識の現状と課題および対策

【現状と課題】

小児歯科保健の向上のためには、基本的には国民にその意義と必要性の浸透を図る必要があるが、現状はまだ意識はそれほど高くないようである。その例として、医科と同時に集団で実施される1歳6か月児健診や3歳児健診のような法的健診では、全国的に90%以上の受診率を示しているが、一部の地域で実施されている歯科単独の2歳児健診では、受診率はいずれも50%ぐらいを示していることからも推測される。しかも、受診される子どもの保護者は比較的意識の高い方が多く、疾患を予防するという観点からは、受診されない比較的意識の低い方への対応が今後の課題である。

また「食育基本法」の制定により、今後食育の推進という観点から国民運動の展開がさらに進展してくると考えられるが、生涯を通じておいしく何でも食べられるためには、歯と口の健康が大切である。そのためには、小児期からの歯科保健の推進が、そのまま生涯を通じた食育の推進に繋がってくるということが、ようやく国民へ浸透してきている状況である。

2011年に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が制定されたことや「健康日本21」における歯科保健の具体的な成果についても少しずつ評価されてきているのが実状である。

【対策】

ア.
歯科健診の受診率の向上のため、1歳6か月児健診や3歳児健診は医科と同時に集団で実施する
イ.
歯科での利用・記載の少ない「母子健康手帳」への歯科の記載と利用を推進する
ウ.
子どもの「かかりつけ歯科医院」での予防・保健指導の徹底をはかる
エ.
全国および各地域での行政が実施する小児歯科保健の啓発活動へ学会・歯科医師会が積極的に協力する
オ.
小児期からの歯と口の健康が生涯を通じた食育の推進に繋がるという意識を国民に浸透させる
カ.
おいしく何でも食べられるためには、小児期からの口腔機能の健全な発達が重要であることを国民にさらに啓発していく必要がある