学会からの提言

小児期・思春期患者の歯周病変分類

公益社団法人 日本小児歯科学会学術委員会(令和3年8月)

 小児期・思春期に認められる歯周疾患は、成人期に認められるものとは明確な差異がある。小児期・思春期では、プラーク性歯肉炎(不潔性歯肉炎)がほとんどを占めているが、思春期性歯肉炎のような性ホルモンの分泌の影響によるものもある。一方で、歯周炎の頻度は極めて低いものの、全身疾患と関連するものが多いという特徴がある。
 小児期においては、歯の萌出がみられることが大きな特徴であり、乳歯から永久歯への交換がなされることも考慮すべき重要な点である。また、歯周ポケットの状態は、乳歯列、混合歯列、永久歯列それぞれで全く異なる様相を呈することも鑑みる必要がある。さらに、小児期から思春期にかけて自立の度合いは高まっていくものの、自己管理が不十分であることも配慮すべき事項である。
 このような背景から、小児歯科領域の視点に立ち日常臨床において適用しやすい「小児期・思春期患者の歯周病変分類」を策定するに至った。

Ⅰ. 歯肉病変 Gingival lesions

1.プラーク性歯肉炎 Plaque-induced gingivitis
 1)プラーク単独性歯肉炎 Gingivitis induced by dental plaque only
 2)全身因子関連性歯肉炎 Gingivitis induced by systemic factors
   思春期関連・月経周期関連・妊娠関連・糖尿病関連・白血病関連
 3)栄養障害関連性歯肉炎 Gingivitis indeuced by malnutrition
 4)萌出性歯肉炎 Eruption gingivitis

2.非プラーク性歯肉炎 Non-plaque-induced Gingivitis
  プラーク細菌以外・粘膜皮膚病変・アレルギー反応・外傷性病変・口呼吸由来

3.歯肉増殖 Gingival overgrowth
  薬物性・遺伝性

4.壊死性潰瘍性歯肉炎 Necrotizing ulcerative gingivitis

5.歯肉膿瘍 Gingival abscess
  う蝕由来・歯周疾患由来・形成不全歯由来(X連鎖性低リン血症性くる病)

6.歯肉退縮 Gingival recession
  咬合性外傷由来・機械的刺激由来・外来異物由来

Ⅱ. 歯周病変 Periodontal lesions

1.全身疾患の関連する歯周病編 Periodontal lesions associated with systemic diseases
 1)慢性歯周炎 Chronic periodontitis wtih systemic diseases

遺伝性疾患関連:
  家族性周期性好中球減少症・Down症候群・白血球接着能不全症候群・
  Papillon-Lefèvre症候群・Chèdiak-Higashi症候群・組織球症症候群・その他
非遺伝疾患関連:
  白血病・糖尿病・骨粗鬆症・AIDS・その他

 2)非炎症性歯周病変 Non-inflammatory periodontal lesions associated with systemic diseases
   低ホスファターゼ症

2.全身疾患の関連しない歯周病編 Periodontal lesions assosiated with non-systemic diseases
 1)侵襲性歯周炎 Aggressive periodontitis
 2)壊死性潰瘍性歯周炎 Necrotizing ulcerative periodontitis
 3)歯周膿瘍 Periondontal abscess

Ⅲ. 歯肉ー歯周病変 Combined endodontic-periodontic lesions

※下線部は従来の分類に記述を加えた箇所を示す。「Ⅱ. 1. 2)非炎症性歯周病変」は新規に項目を追加した。