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日本小児歯科学会における身体拘束下での歯科治療に関する基本的考え方
(厚生労働省の「身体拘束に対する考え方」を前提として)

平成 30 年 1 月 17 日

厚生労働省の示す一般医療・介護現場での身体拘束は、医療や介護の現場では援助技術のひとつとして安全を確保する観点からやむを得ないものとして行われてきた経緯がある。身体拘束は原則として虐待に該当する行為と考えられるが、本人の生命または身体が危険にさらされる場合など、「身体拘束の手引き」(厚生労働省 身体拘束ゼロ作戦推進会議編)が定める「緊急やむを得ない場合」注)とされているものについては該当しない。
そこで、当学会において身体抑制の対象とする患者について以下のように定める。

  1. 低年齢または何らかの障害等で身体拘束が歯科治療上の安全を確保するために必要であると認められること
  2. 身体抑制の必要性ついて、歯科医師および歯科衛生士等複数の者が認めること
  3. 身体抑制の方法や時間などを患者本人または保護者にわかりやすく説明し、了解を得ること
  4. 抑制中に術者以外に安全を見守る者を置くこと
    これらの用件を満たした患者を身体抑制下で診療する対象患者とする。
    なお、身体抑制には、レストレーナー®(身体抑制網)やタオル、抑制ベルト、術者や補助者による徒手抑制がある。

身体抑制下に歯科治療を行う手順

  1. 抑制具(レストレーナー®やタオル等)を使用する必要性を担当医およびその他 1 名以上の歯科医師または歯科衛生士等複数の医療従事者が認める。
  2. 軽度な徒手抑制下で行う治療は、口頭で抑制の保護者の承諾を得る。
  3. 抑制具による抑制下で治療を行う場合には、患者または保護者の承諾を得た上、承諾書に署名を必要とする。なお、承諾書を得る際には、必ず抑制の方法、時間、術前術後の対応方法について説明を行う。
  4. 抑制具で抑制する際には、術者だけでなく必ず補助者の歯科医師または歯科衛生士が介助を行い、さらに生体モニター(心拍数、SpO2:血中酸素飽和度の把握するため)、を装着して患者の安全を見守る。
  5. 身体抑制下での歯科治療後に、術前・術中・術後の状態についてカルテに記載する。

注)*厚生労働省が定める「緊急やむを得ない場合」に該当する3要件

  1. 切迫性:本人または他者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い場合
  2. 非代替性:身体拘束以外に代替する方法がないこと
  3. 一時性:身体拘束は一時的なものであること
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